2018年、約4年前のことですが、大分県中津市三光の地域おこし組織、「元気会」と八面山の歴史遺産を活かしたツーリズムの検討を実施しました。代表であるH氏は、以前、重松先生のもとで研究生として所属され、お声掛けいただきました。
地元の方々も、あまり知らない、かつての修験の遺構や、景勝地、社寺仏閣を案内いただき、八面山の有する景観のすばらしさと、深い信仰との関りについて考えることができました。
多くの遺構が、八面山を崇拝できるように配置されているのですが、周辺の森林がその視野を遮り、かつての信仰の形式は失われています。そこで、4年生の卒業論文、卒業計画の活動として「修験ツーリズム」の提案を行いました。かつての、修験と山の役割を、修験ツーリズムという形で、再興しようというアイデアです。具体的には、かつての修験の道の再生、木彫の菩薩像が横たわり建屋が荒廃した猪川内岩屋堂の再建、周辺の常緑広葉樹や針葉樹のハゼ林への更新です。ハゼの材は、かつて護摩焚きに用いられ、実からは蝋が作られていました。そのような、信仰と里山の関係を、再度、ツーリズムのプログラムとしてデザインしようという提案です。
4年生のO君は、友人の協力もあり、猪川内岩屋堂などの設計図面に加え、模型、イメージ映像を作成し、環境設計学科2位を獲得しました。模型関係は全て、元気会に寄贈しました。
元気会は、2019年に、クラウドファンディングで資金を集め、猪川内岩屋堂の再建を完成されました。これは、大変素晴らしい活動で、2020年には、造園学会九州支部最優秀研究賞を受賞されています。
また、今回、嬉しいお知らせがあり、2021年度に「猪川内岩屋堂 復興プロジェクト」として、ウッドデザイン賞を受賞されました。”おめでとうございます!” (朝廣)
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